屈筋腱断裂
目次
- Q. 屈筋腱断裂とは?
- Q. 屈筋腱断裂の発症年齢は何歳ぐらいですか?
- Q. 男女比はどうですか?
- Q. どんな原因がありますか?
- Q. 症状はどのようなものがありますか?
- Q. 治療はどうしたらいいでしょうか?
- Q. 麻酔はどんな麻酔でしょうか?
- Q. 術後のリハビリはどんなことを行うのでしょうか?
Q. 屈筋腱断裂とは?
カッターを使う作業や、包丁で指を怪我する方が多いです。
指を曲げる屈筋腱は、示指から小指は2本、母指は1本あり、それらは表面から浅いために容易に断裂します。治療には3~6か月程度必要です。
こちらでは屈筋腱断裂についてをQ&A形式でご説明しています。
Q. 屈筋腱断裂の発症年齢は何歳ぐらいですか?
A. 2016年1月~2018年6月30日まで通院された新規の屈筋腱断裂の患者さんは2年6か月で39例の年齢分布です。40歳以下が12例と多く、50代前半、60代が多くなっています。
Q. 男女比はどうですか?
A.39例の性比分布は、下グラフのように男性21例、女性18例と男性が多くを占めていす。
Q. どんな原因がありますか?
A. 多くは外傷が原因です。包丁や労務中の切傷を伴っています。
骨と腱の接合部が弱くなったり、ステロイド注射をした後に突然指の屈曲ができなくなることがあります。これは皮下断裂と言って、傷を伴わない腱断裂です。
どちらの原因であっても指の屈曲ができなくなります。
Q. 症状はどのようなものがありますか?
A. 指が曲がらなくなります。
傷を伴った外傷性のものは腱に伴奏している血管・神経を同時に切断していることがありますので、傷より指先の方にしびれや冷感を感じているようならば、早期に手外科専門医のいる治療施設を受診することをお薦めします。(手外科専門施設へ)
Q. 治療はどうしたらいいでしょうか?
A. とにかく断裂しているところをリフレッシュして、縫合します。早ければ早いに越したことはありません。
縫合方法は部位によっても、施設によっても異なります。
現在多くの施設で行われている縫合法は6-strandといい縫合部分に計6本の糸が通る方法です。縫合部が強固で早期訓練に耐えられる強度があると言われています。
時間が経過してしまうと、断端は短縮してきます。
伸びていたゴムが切れたように力源に戻るようにチジミますので、直接縫合は困難です。
その際は、他の部位の腱を使用したり(腱移植)、類似の腱を移動させてくる腱移行術が行われます。しかし、機能を再獲得するには直接縫合よりも時間がかかります(最大6か月程度)。
(術前)屈筋腱断裂の動画
(術後)屈筋腱断裂の動画
Q. 麻酔はどんな麻酔でしょうか?
A. 局所麻酔から全身麻酔まで、状況によって異なる麻酔があります。
屈筋腱縫合には、伝達麻酔が多く行われています。鎖骨よりも首に近いところに麻酔剤を入れる(鎖骨上ブロック)脇の下にある神経をブロックする(腋窩ブロック)が患者さんも、術者も管理しやすい麻酔となります。
6時間から12時間程度疼痛を感じないでいられます。
Q. 術後のリハビリはどんなことを行うのでしょうか?
A. 直接縫合か行えれば、翌日から手背にスプリントを作成してもらい、指先の爪に屈筋腱の代わりをするゴムひもをつけて伸展運動を開始します。(早期可動域訓練)
4週目からひもを外して、自力で屈曲を行うようにしてゆきます。
最終的に強くものが握れるようになるのは12週間程度を見込んでいます。きめ細かいリハビリが機能獲得には必要となります。
当サイト監修医は柏Handクリニックで診察をしています
当サイトを監修している田中利和は、千葉県柏市の柏Handクリニックにて、手(指・手首・ひじ)の疾患に特化した診察・治療を行っております。
2020年の開院以来、手の症状でお困りの多くの方にご来院いただいております。
日本整形外科学会専門医・日本手の外科学会専門医の資格を持った手の専門家として、患者さんと一緒に、より良い治療を一緒に考えていきたいと思っております。
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