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キーンベック病
(月状骨無腐性壊死)

目次

Q. キーンベック病とは?

手関節の動きが低下するキーンベック病 手関節(手首)を形成している8つの手根骨の一つである月状骨の血流が低下して、壊死におちいり、変形してくる病気です。
手首の腫れや痛み、可動域の低下が生じます。
こちらではキーンベック病についてをQ&A形式でご説明しています。

Q. 発症年齢は何歳ぐらいですか?

A. 2016年1月~2018年6月30日まで通院された新規のキーンベック病の患者さんは2年6か月で22例の年齢分布です。44歳以下と60代にピークがあります。

Q. 男女比はどうですか?

A.22例の性比分布は、男性11例、女性11例と男女同数です。

Q. どんな原因がありますか?

A. 月状骨への血流低下により生じるということはわかっていますが、その原因は、はっきりしません。

以前は手関節をたくさん使う肉屋さんに多いという話もありましたが、男女同数であることや、重労働者でなくとも発症することから、手関節を多く使うことが原因であるとは断定できません。
リウマチ類似疾患でも同様の骨壊死が起こります。

Q. 症状はどのようなものがありますか?

A. 手首を動かす際の痛みと、手首に膨らみができることです。
ものを握っても、手をついても手首の背側に痛みがあります。安静にしていても痛みを生じることもあります。
手関節の動きが低下し、背屈、掌屈ができにくくなります。症状がまったくない場合もあります。

変形した月状骨により、指を伸ばす腱の断裂(伸筋腱断裂)や手指のしびれ(手根管症候群)となり、診断されることがあります。

Q. 進行の程度があると聞きますが、
どんな進行形がありますか?

A. 進行の程度とは、ステージ分類のことと思います。
Lichtmanというアメリカ人の先生が1977年に報告した単純レントゲン分類が一般的です。MRI所見を含めて、記載します。

  • Ⅰ期:月状骨は正常X線所見、MRIで明らかとなる
  • Ⅱ期:月状骨の硬化性変化
  • Ⅲ期:月状骨は潰れ(IIIA) さらに、舟状骨・月状骨解離が生じ配列異常が出現する(ⅢB)
  • Ⅳ期:二次性関節症が生じ、隣接する舟状骨が掌側回転する

Q. 手首が痛くて、キーンベックを疑っているのですが、どうしたらいいでしょうか?

A. まず、レントゲンを撮ってもらいましょう。

進行していると2方向の写真で診断されます。
一般の外科系の先生では難しいこともありますので、手外科医の診断をしてもらいましょう。(手外科専門医はこちらをご覧ください)

確定診断はMRIによります。月状骨が周囲の骨と異なった色をしています。
また、周囲に水種が生じていたり、滑膜炎があったりします。

似た病態に尺骨突き上げ症候群があります。月状骨が尺骨に突き上げられて、当っている部分のみ骨の色が変わっています。

Q. 治療はどのようにおこなうのですか?

A. 治療は進行の度合い(ステージ)により異なります。

私が診た最年少は6歳のお子さんでした。
ステージIIでしたので、固定だけで6か月後には改善していました。

成人例でも、早期のものについては、固定のみで経過をみられるものもあります。

ステージIII以上にあると外科的な治療が必要になります。

治療法は多数あり、その分確定した治療法がないということです。大学ごとや、地域によりお勧めする手術法が異なることがあります。
しかし、全ての外科治療目的は、月状骨への圧迫を減らして、血流を改善させることです。

月状骨骨髄血移植、創外固定装着、超音波治療法

この方法は血流のなくなった月状骨に骨孔を開け、そこに骨髄血を移植し、月状骨にかかる圧を低下させるために創外固定器を装着するものです。
骨新生を促進する目的で超音波治療を併用します。2か月の創外固定器の脱着を行い、超音波治療を継続します。

骨釘移植術

上記手術の骨髄血の代わりに骨釘を作成して、移植します。
同様に創外固定を使用する場合、超音波治療をおこなう場合があります。

橈骨骨切り

橈骨を短縮して月状骨にかかる圧を減らします。骨切りの仕方により数種類あります。切った骨は骨折同様にプレートで固定します。

腱球移植術

ダメになった月状骨を摘出して、手掌腱を使用した腱球を作成して、月状骨の代わりに摘出した場所に入れます。取った月状骨の骨片を腱球の中心に入れることもあります。

人工月状骨移植

欧米で行われています。シリコン製、セラミック製等があり、月状骨を摘出した後にスペーサーとして、挿入します。周囲の骨の変位、変形の予防目的です。

どの治療をするのかは、病気の進行具合によって異なります。手外科医の説明をよく聞いて納得して治療を受けてください。(手外科専門医はこちらをご覧ください)

当サイト監修医は柏Handクリニックで診察をしています

当サイトを監修している田中利和は、千葉県柏市の柏Handクリニックにて、手(指・手首・ひじ)の疾患に特化した診察・治療を行っております。

2020年の開院以来、手の症状でお困りの多くの方にご来院いただいております。

日本整形外科学会専門医・日本手の外科学会専門医の資格を持った手の専門家として、患者さんと一緒に、より良い治療を一緒に考えていきたいと思っております。

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